職場のマネジメントって難しい。
そして家庭のマネジメントも難しい。
医療現場で中間管理職になったことがきっかけでマネジメントについて勉強するようになり、メンタルヘルスマネジメント検定にも受験。
いつの間にかどの場面でもどうしたら今より良くなるかを考えていた。
そんなマネジメントについてよく参考にさせてもらっている一つに「ドジャース」がある。
大谷翔平や山本由伸など日本人選手も活躍しているこのチームだが、調べてみるとワールドシリーズを連覇するチームには単純に資金力だけではないことを知った。
以下に5つでまとめてみる。
ドジャースの5つのマネジメント力
1.【信頼関係】“敬意”が人を動かす
大谷翔平以前にドジャースは日本と関係性を築いていた。
生原昭宏(アイク・イクハラ)氏という一人の人物の先見性によって築かれた。彼はドジャースと日本の架け橋となり、単なる選手獲得に留まらない、人間的な関係構築の重要性を組織に根付かせていたという。
例えば2002年の石井一久投手の契約では彼が日本でエリート選手であったことへの敬意を示すためドジャースの首脳陣はわざわざ日本へ飛び、現地で入団会見を開いた。
選手へのサポート体制にも色濃く反映されている。日本語を話せるトレーナーの常駐や、ウィル・アイアトンのようなバイリンガルのフロントスタッフの存在は、日本人選手がすぐにチームに溶け込める環境を作り出している。佐々木朗希が故障で苦しんでいた時期、彼を精神的に支えたのもアイアトン氏だったという。佐々木は、どんな状況でも変わらず声をかけてくれるアイアトン氏に深い信頼を寄せている。金銭的な魅力だけでは、このような信頼は生まれない。
これらによって築かれた信頼関係こそが、世界中から最高の才能を惹きつけている。
2.【育成力】完成品ではなく“原石”を磨く仕組み
ドジャースに入団した大谷翔平は、チームの核心についてこう語った。「一番の強みは育成だと思っている」。彼の言葉を裏付けるのが、球界屈指と名高いマイナーリーグ、通称”プロスペクト工場”である。
選手を「完成品」として見るのではなく、将来的な成長可能性を秘めた「ダイヤの原石」として捉え、育成をしている。最高レベルの才能が、過酷な環境で互いを高め合う。この育成システムこそが、次々とスター選手を生み出し、常勝軍団の土台を支えている。
しかし、この”プロスペクト工場”を最高効率で稼働させるために大事なのが、ドジャースが他球団の先を行くデータ分析革命なのである。
3. 【データ分析】「数字」よりも「人」を重視
ドジャースは、メジャーリーグにおけるデータ分析の先駆者としても知られている。しかし、そのアプローチは、単に統計を重視する『マネー・ボール』の概念を遥かに超えている。その目的は、選手一人ひとりの才能を科学的に解明し、ポテンシャルを100%引き出すことにある。
単に「何が起きたか」(結果)を追うだけでなく、「なぜ、どのように起きたか」(プロセス)を解明している。そのために、球場全体の動きを捉えるStatcastから、選手の身体に装着するバイオメトリックセンサー、投球フォームを分解する高速カメラまで、多層的なデータ収集システムを構築している。
これらの膨大なデータは、個々の選手に完全に最適化された成長計画を作成するために活用される。
• 技術面
高速カメラシステム『KinaTrax』で投球フォームを解析し、故障リスクの低い効率的なフォームを提案。『Blast Motion』のようなバットセンサーでスイング軌道をミリ秒単位で捉え、個別に最適化された修正プランを構築している。
• 管理面
疲労度や過去のパフォーマンスデータを基に、その日の練習メニューの強度や量を自動で調整。栄養摂取や睡眠スケジュールまで、科学的根拠に基づいて最適化される。
個々の選手を科学の力で深く理解し、才能を最大化させる、まさにデータ分析革命と呼ぶにふさわしいアプローチになっている。この科学的アプローチは、若手の育成だけでなく、他球団が才能を見抜けなかった選手に新たな光を当てる、ドジャースのもう一つの顔「キャリア復活請負人」の秘密兵器でもある。
4. 【目標設定】短期の勝利より“未来のファン”を見据える戦略
ドジャースによる日本人トップ選手の獲得は、ワールドシリーズ制覇という短期的な目標のためだけではない。その背後には、日本市場でのブランド確立という、壮大かつ長期的なビジネス戦略が存在している。この動きは、大谷翔平のメジャー移籍が現実味を帯びてきた約10年前から本格的に加速した。
単にグッズを売ることではなく、日本に真の熱狂的なドジャースファン層を創り出すことだ。編成のトップであるアンドリュー・フリードマン氏は、「次のショウヘイかロウキかヤマモトになる8歳、9歳、10歳の子どもがドジャースの帽子を被ってくれて、そして『ドジャースに入りたい』と考えてくれることが私たちの願いだ。」とも話しており、そのビジョンの高さが伺える。
アメリカを訪れる日本人観光客が、ドジャースタジアムの訪問を組み込んでいる人数が増えているようだ。目先の勝利の先に、次世代の才能とファンの心を掴む。これこそがドジャースの描く未来図になっている。
5. 【再生力】人を見捨てない組織の底力
今季マイケル・コンフォート選手が活躍できなかった件はさておき、ドジャースは「選手のキャリア復活請負人」としての役割も持ち合わせている。この組織は、他球団で伸び悩んだり、不振に陥ったりした選手を見つけ出し、再び輝かせる驚異的な能力を持っている。
前述の高度なデータ分析力と育成システムが、他球団では見過ごされていた選手の課題を正確に特定し、的確な修正を施すことを可能にしているのだ。これにより、主力選手の故障といった不測の事態にも慌てることなく対応できる、強固な危機管理体制を維持しているのだ。佐々木朗希がポストシーズンで復活できたことが照明している。
この「再生能力」は、組織全体の深い学習能力と適応力の現れでもある。潤沢な資金でスター選手を集めるだけでなく、埋もれた才能を蘇らせることで、ロースターに常に厚みを持たせる。スター軍団の陰で静かに機能するこの「復活工場」こそが、ドジャースが長期にわたって安定した強さを保つための、隠された切り札であり、彼らの組織全体の強固さを象徴している。
職場でどう活かしてきたか
今現在(2025.11)、介護現場で働いているけれど、いくらあれこれ知っていても信頼されていないと頼られることはないことを痛感している。医療現場で中間管理職だったとしてもアピールしない限りは誰からも頼られない。
内向的な私は、アピールするのが苦手なので、積極的にアピールや主張するよりも誰かが助かる「何か」を探して取り組んできた。
周りよりも少しパソコンに詳しい方なので、書類入力が簡単になるように入力フォームを作成したり、あちこちに分かれていた実績入力を集約したExcelシート作成を行った。
周囲のスタッフからは頼られているし、今回とりあげた中いう信頼関係や分析力、目標設定にはつながっていると思う。
まとめ
ドジャースの5つのマネジメントをまとめると以下になる。
- 信頼関係
- 人材育成
- 分析力
- 目標設定
- サポート体制
こうやってみると野球も職場もそんなに変わらない感覚になる。
まずは、自分の職場でも“小さなドジャース”を作るつもりで、誰か一人に信頼される行動から始めてみると良いかもしれない。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。

