日々の業務に追われながら、「このやり方、もっと効率的にならないかな…」と感じたことはありませんか?
中間管理職として現場を支える立場にいると、特定の人しかできない仕事や、暗黙のルールに依存した業務フローに頭を抱える瞬間が増えてきます。属人化は組織の成長を妨げるだけでなく、急な退職や休職の際には業務が滞る大きなリスクにもなります。
今回紹介する安藤工大さんの『とにかく仕組み化』は、単なる効率化のテクニックではなく、組織全体を強くする「仕組みづくりの本質」に迫った実践書。私自身、医療・介護現場で管理職を務める中で、この本の考え方に救われた経験があります。本記事では、その要点と実践ステップ、そして実際の現場での活用例をご紹介します。
仕組み化が必要な2つの理由
1. 人は弱いから
人は「やるべきこと」を先延ばしにしがちです。仕組みやルールがないと優先順位があいまいになり、業務が滞ります。
例えば「メールは3時間以内に返信」など、シンプルなルールを設定するだけで組織のスピード感が向上します。
2. 組織は放っておくと属人化するから
特定の人にしかできない業務が増えると、急な欠員時に混乱が起きます。
私もあるスタッフの退職で現場が混乱した経験があります。当時、業務マニュアルが不十分で、自分しかできない業務も多く、引き継ぎが困難でした。思い切ってマニュアル化を進めたことで、結果的に上司から「組織の成長に貢献している」と評価されました。
『とにかく仕組み化』の5つの実践ステップ
誰がどの判断を下せるのかを明確にし、無駄な確認作業を減らします。
「このままではまずい」という共通認識を持つことで、仕組み化の推進力を高めます。
「頑張った人が正当に評価される仕組み」を作り、組織のモチベーションを維持します。
組織の方向性を明確にし、すべての仕組みを理念と一致させます。
進捗を可視化することで、関係者の意識を高め、継続的な改善を促します。
- 責任と権限を明確にする
誰がどの判断を下せるのかを整理することで、無駄な確認や責任の押し付け合いを防げます。 - 危機感を利用する
「このままではまずい」という共通認識が仕組み化の推進力になります。 - 比較と平等に配慮する
頑張った人が正当に評価される仕組みは、チームのモチベーション維持に欠かせません。 - 企業理念を再認識する
すべての仕組みを理念と一致させることで、方向性がぶれにくくなります。 - 進行感を感じる
進捗を可視化することで、改善のモチベーションが継続します。

「歯車になること」を恐れない

仕組み化を進めると「自由がなくなるのでは?」と不安になる人もいます。
しかし本書では、組織の歯車であることと自己成長は両立できると説きます。
私もかつては「個人のスキルこそ評価の鍵」と考えていましたし、他の人にはない自分だけの強みを持っていれば負けないと思っていた時期もありました。ですが今は「仕組みを理解し、活用できる人」がより大きな価値を発揮できると実感しています。

見ればわかるですぐに業務に取り組める
私が異動して場所ではマニュアル化が十分とはいえず、更新されていないマニュアルに口頭で聞いた新しい情報をメモで付け加えていくような状況で、大きなストレスを感じていました。その数ヶ月後に新たな異動者が来ることがわかり、業務フローの書き出しとマニュアル化を推進。異動の方が来てもすぐにマニュアルを見て対応できるようになっていました。
マニュアルの整備を誰が行うか、といった仕組みはできていないものの、マニュアルに着手すべき重要性は知れたのではないかと感じています。
仕組み化は組織とあなたをラクにする
『とにかく仕組み化』は、効率化のためだけでなく、組織と個人が共に成長するための指針を与えてくれる一冊です。
仕組み化を進めることは、チームの安定性を高め、自分自身のキャリアを守る最良の投資です。
あなたは今、どの業務から仕組み化を始めますか?

-
感情の“沼”にハマる前に…3分でできる気持ちのリセット術
-
【中間管理職が不安なあなたへ】「流れに任せる」ことで開けたキャリアの話
-
業務改善を成功させる視点とは?「簡単に働く」ための考え方
-
「子どもが言うことを聞かない…」その悩み、”遊び”で解決できるかも
-
愚痴が出そうなときこそ、自分の行動を記録して整える
-
怒り・不安に振り回されない!感情コントロールの実践法
-
栗山英樹に学ぶ|若手の才能を引き出す共感型リーダーシップ術
-
ダルビッシュ有に学ぶ若手を育てる共感型リーダーシップの極意
-
ISTPのリーダーシップ:静かに動き、現場を支える“職人型”の実践力