自己評価が低いからこそ管理職になれた話

管理職と聞くと、自信に満ち溢れ、リーダーシップを自然に発揮する人物を思い浮かべるかもしれません。
しかし、私の経験は少し違います。

むしろ、自己評価の低さが管理職としての強みになったと感じています。

幼少期からのリーダー経験

学生時代は、自然とリーダー役を任されることが多い人生でした。
特に、野球部ではキャプテンを務めることがあり、組織の中心的な役割を担っていました。
ただし、私のリーダーシップは、強く指示を出したり、周囲をぐいぐい引っ張るタイプではありませんでした。

どちらかというと、自ら率先して動くことで周囲を巻き込もうとするスタイルでした。
「こうしよう」と言葉で指示するよりも、まず自分が動いて、その姿勢を示すことで周りがついてくることを期待していました。
しかし、その方法が本当に効果的なのか、不安に思うこともありました。

また、当時の私は自分に対する評価が大きく揺れ動いていました。
小学生の頃は周りと比べても野球が上手くやれていた方なので、自信を持っていましたが、怪我や思うような成果が出せない経験をする中で、次第に「自分はそこまで特別ではないのではないか」と感じることが増えていきました。

チームの中で重要な役割を担いながらも、心のどこかで「自分よりも適任がいるのではないか」と思うことが多くなっていったのです。

社会に出て感じた壁

作業療法士として働き始めると、想像以上に高い壁に直面しました。
学生時代に学んできた知識だけではまったく通用せず、周囲の優秀な同僚たちと自分を比較しては、劣等感を抱くことが多くなりました。

特に強く印象に残っているのが、発表の場面です。
新人の頃は発表の機会があるたびに極度の緊張に襲われ、手が震え、汗が止まらなくなりました。
失敗することが怖くて、他人からの評価ばかりを気にしてしまい、積極的に発言することを避けるようになった時期もありました。

その結果、チームの中で意見を求められる場面でも、自分の考えをしっかり伝えられず、ますます自己評価を下げる悪循環に陥っていました。

しかし、そんな中でも私なりに工夫していたことがありました。
それは、「自分が話すのが苦手なら、まずは周りをよく観察しよう」という姿勢です。

周囲の先輩や同僚がどのように発表し、どのようにコミュニケーションを取っているのかを細かく観察することで、少しずつではありますが自分のスタイルを模索していきました。

管理職への転機

そんな私が管理職になったのは、ある上司の推薦がきっかけでした。
理由を聞くと、「周りをよく見ている」とのことでした。

当時の私は、単に自己評価が低くて周囲の視線を気にしていただけでしたが、それが結果的に「周囲の状況を把握する力」につながっていたのです。

管理職として働くうちに、自己評価が低いことが意外な強みになることに気づきました。

  • 他者の感情を敏感に察知し、適切な対応ができる
  • 部下の気持ちを考えながら指導できる
  • 自分の意見を押し付けず、周囲と協調しながら組織を動かせる

特に、部下の気持ちに寄り添うことができたのは、かつての自分が「どう評価されるか」に悩んできたからこそだと思います。
上司からのプレッシャーや周囲の期待に押しつぶされそうになった経験があったからこそ、部下の気持ちを理解し、できるだけストレスを減らすような環境を作ることを意識するようになりました。

もちろん、不安や緊張が消えたわけではありません。
朝礼で話すことには最後まで緊張しましたし、人前での発表は今でも得意ではありません。

しかし、管理職としての役割を果たす中で、「伝えるべきこと」をしっかり伝えられるようになり、自分の中の「苦手意識」を克服するための努力を続けてきました。

自己評価は変わったのか

管理職としての経験を重ねた今でも、「自信満々」とは言えません。
それでも、以前よりは自分を肯定できるようになりました。

特に、データ分析を活かした業務改善など、自分の得意な分野を伸ばすことで貢献できた実感があります。
苦手な部分を克服するだけでなく、得意な部分を活かすことで組織に貢献できることを実感したとき、少しずつ自己評価が変わり始めました。

また、マネジメントの面白さを感じるようになり、自分らしいリーダー像を模索する余裕も出てきました。

管理職だからといって、全員が強く自信を持たなければならないわけではない。むしろ、周囲と協力しながら組織を支えることができるリーダーも必要なのではないか、と考えるようになったのです。

まとめ:自己評価の低さを強みに

自己評価が低いことは、決してネガティブな要素ばかりではありません。
それがあるからこそ、他者をよく見て、配慮しながら組織を動かす力が養われました。

「管理職には自信が必要」と思っている方へ。
必ずしもそうではありません。
むしろ、自己評価が低いからこそ、人の気持ちに寄り添い、より良い職場を作ることができるのではないでしょうか。

これからも自分の強みと向き合いながら、自分らしいリーダーシップを追求していきたいと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次