【作業療法士管理職向け】OT部門をまとめる5つのポイントとは?

はじめに

作業療法士(OT)としての経験を積み、管理職になると、次に求められるのは「チームをまとめ、成果を上げること」です。
しかし、現場にはさまざまな課題があります。

  • 部下が主体的に動かない
  • OTの役割が曖昧で、他職種との連携がうまくいかない
  • 評価基準が不明瞭で、スタッフのモチベーションが上がらない

こうした悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか?
本記事では、安藤広大さんの書かれた書籍を参考にOT部門の管理職として 円滑にチームを運営し、成果を出すための5つのポイントを紹介します。


リハビリ職種だけでなく、医療職の若手管理職の皆様には参考になるかと思います。
今日から実践できる内容なので、ぜひ参考にしてください。


1. ルールと仕組みを整え、迷いのない業務環境を作る

1-1. ルールを明確化し、統一する

OT部門がスムーズに機能するためには、「何をすべきか」が明確であることが不可欠です。
ルールが曖昧だと、各スタッフが独自のやり方を持ち込み、業務にムラが生まれます。

例えば、こんな状況はありませんか?

  • 申し送りの方法が人によってバラバラ→ 伝達ミスが発生する
  • 新人指導方法が指導者によって違う→内容に違いが生じ修正が発生する
  • 会議の目的が不明瞭→余計な時間が増える

これを防ぐために、 「マニュアル」を作成し、チーム全体で共有することが重要 です。
具体的には、以下のようなルールを明文化すると良いでしょう。

  • 申し送りのフォーマットを決める(例:SOAP形式で統一)
  • 指導マニュアルを作成する(基本的な業務を統一しておく)
  • 会議の目的をはっきりさせる

「決まっていないから、各自のやり方に任せよう」ではなく、 全員が共通のルールで動ける環境を整えることが管理職の役割 です。


1-2. 仕組み化で属人化を防ぐ

「この業務は○○さんしかできない」という状況が続くと、業務の属人化が進みます。
特定の人に業務が集中し、負担が偏ると、チーム全体の生産性が下がってしまいます。

これを解決するには、先ほどの 業務のマニュアル化が有効です。
例えば、

  • 1日、1週間、1ヶ月の動きは何があるか
  • リハビリに関連する書類業務は何があるか、どんなことをしなければならないか
  • リハビリ以外の業務には何があるか
  • 新人教育のカリキュラム化
  • 異動や退職に対応できる「引き継ぎマニュアル」の整備

これらの仕組みを導入すれば、 誰が担当しても一定のクオリティを維持できる体制 が整います。

私自身も私にしかできない業務を持っており、それで自分の価値を感じていた部分がありました。
しかし、マニュアル化したことで、他の人もできるようになり、結果的に組織全体のスキルの向上につながった経験があります。

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1-3. 感情ではなくルールに基づく判断

「なぜあの人ばかり評価されるのか?」 「あの仕事、やりたくない」

このような 不公平感や感情的な対立は、部門全体の士気を大きく下げます。

だからこそ、業務の評価や分担は 感情ではなく、ルールに基づいて行うことが重要 です。

  • 評価の基準を明確にし、全員に共有する
  • 役割分担をルール化し、業務の偏りをなくす
  • 例外を作らず、一貫した判断を行う

これにより、「管理職の好き嫌いで業務が決まる」といった誤解を防ぎ、チーム全体の信頼関係を強化できます。


2. 責任と権限を明確化し、「任せる」文化を作る

「細かいことまで全部自分で決めてしまう…」 そんな管理職になっていませんか?

管理職の仕事は 「すべてを自分でこなすこと」ではなく、「チームが自走する環境を作ること」 です。
そのためには、適切な権限委譲が欠かせません。

2-1. 役割と責任を整理し、明確に伝える

「〇〇さん、ちょっとこれお願い」と 場当たり的に仕事を振っていませんか?
これではスタッフは 「結局、何が自分の仕事なのか?」 と迷い、責任感が薄れてしまいます。

そこで重要なのが、 「誰が何を担当するのか」を明確にすること です。

  • 新人指導の担当を決める
  • 学会発表のサポートを決める
  • 他職種連携の窓口のためのリーダーを設ける

役割が明確になれば、スタッフは「自分の仕事」として責任を持って取り組めるようになります。


2-2. 適切な権限委譲で主体性を引き出す

「この仕事を任せたいけど、失敗されたら困る…」

そう考えて、 なかなか仕事を任せられない管理職は多いです。
しかし、すべてを抱え込んでしまうと、 スタッフは成長せず、管理職の負担も増える一方 です。

では、どうすれば良いのか?

任せるときは、以下の3点を明確にします。

  • 目的(なぜこの仕事をやるのか?)
  • 期限(いつまでに完了させるか?)
  • 成果物(どんな形で仕上げるか?)

ただ丸投げするのではなく、 最低限のルールを決めた上で任せることで、スタッフの成長を促しつつ、管理職の負担も軽減できます。


3. 目標設定と結果評価でモチベーションを高める

「日々の業務をこなすだけで精一杯…」
そんなOTスタッフは多いのではないでしょうか?

しかし、目標がないとモチベーションは上がりません
また、成果が正しく評価されないと、「自分の頑張りは意味があるのか?」 という疑問が生じ、やる気を失ってしまいます。

そこで、管理職として 目標を設定し、結果を適切に評価する仕組みを作ること が重要です。


3-1. 「適切な目標設定」でスタッフの成長を促す

目標設定のポイントは、「適切なレベル感」と「具体性」です。

例えば、以下のような 抽象的な目標 では、スタッフは何をすればいいのか分かりません。

  • 「リハビリを頑張る」
  • 「患者さんのために動く」

こうではなく、SMARTの原則 に沿った目標設定が重要です。SMARTとは以下の要素を含んだ目標のことです。

項目説明
S(具体的)目標が明確でわかりやすい「取得単位を〇単位に設定する」
M(測定可能)成果を数値で測れる「月に〇件の事例報告を行う」
A(達成可能)無理のない範囲で挑戦できる「外部研修に1回参加する」
R(関連性)組織や個人の成長につながる「新人教育のマニュアルを作成する」
T(期限付き)いつまでに達成するか明確「3ヶ月以内にグループ活動のプログラムを整備する」

目標を 「具体的」「測定可能」「期限付き」に設定する ことで、スタッフの取り組みやすさが大きく変わります。


3-2. フィードバックと評価でやる気を引き出す

目標を設定しても、評価やフィードバックがなければ意味がありません。

よくあるNG例が、年1回の評価だけで、日々のフィードバックが不足しているケース です。

  • 「期末にまとめて評価を行う」
  • 「できていないことだけ指摘する」
  • 「スタッフ自身が成長を実感できていない」

こうならないために、以下のような取り組みを行いましょう。

  • 定期的な面談(1on1ミーティング)を行う
  • 「できたこと」を評価し、小さな成功体験を積ませる
  • 数値や事例を使ってフィードバックを具体化する

具体的な成果を伝えることで、スタッフは自分の仕事の意義を実感できます。

「ただ頑張れ」ではなく、「何をすれば成果が出るのか」を具体的に伝え、成果を適切に評価することが管理職の役割です。


4. 他職種との連携を円滑にし、OTの存在感を高める

OT部門だけで完結する仕事は少なく、医師・看護師・介護士など他職種との連携が不可欠 です。
しかし、実際の現場ではこんな課題がありませんか?

  • 「OTの役割がよく分からない」と言われる
  • リハビリの提案が他職種にうまく伝わらない
  • 連携がうまく取れず、患者さんに十分な支援ができない

こうした問題を解決するために、OTの存在感を高める工夫が必要です。


4-1. OTの役割を「見える化」する

OTは専門性が高い分、「何をしているのか分かりにくい」 と思われがちです。
そのため、他職種に対して積極的に情報発信を行うこと が重要です。

  • カンファレンスでOTの視点を積極的に共有する
  • OTの関わりを可視化し、成果を報告する(例:ADL評価の変化、何ができる)
  • 他職種向けに「OTの活用方法」などの勉強会を開催する

「この患者さんには、こういうOTの介入が有効です」 という提案を続けることで、OTの専門性を理解してもらいやすくなります。

ただ、「手のリハビリ」「PTと同じようなことをしている」といまだに言われているのが現状です。
OTを理解してもらうためはまだ試行錯誤しています…。


4-2. 他職種との関係を「ギブ&テイク」で強化する

OT部門がスムーズに連携するためには、他職種との関係を良好に保つことが大切 です。

  • リハビリの時間確保を強引に求める
  • 他職種の業務に無関心
  • 「OTの仕事だから」と内輪だけで完結する

こうした姿勢ではなく、「ギブ&テイク」の関係を意識しましょう。

  • 看護師・介護士の業務を理解し、協力できる部分を見つける
  • 「OTが関わることで他職種の負担が減る」ことを伝える
  • お互いの役割を尊重し、感謝の言葉を伝える

例えば、介護士の負担軽減のために「移乗動作のコツ」や「自主トレーニングメニュー」を共有することで、OTの存在がプラスに働く場面を作れます。

他職種の人の業務を知ることで、どこに苦労しているのかを把握することは理解し、良好な関係を築く上で重要ではないかと思います。


5. 管理職自身が学び続け、チームの成長を促す

OT部門をまとめるためには、管理職自身の成長も欠かせません。

5-1. 「自分の成長がチームに影響する」ことを理解する

管理職の知識やスキルが古いままだと、チーム全体の成長も停滞 してしまいます。

  • リハビリ技術やエビデンスを学ぶ
  • リーダーシップやマネジメントの勉強を続ける
  • 成功している他施設の取り組みを知る

「学び続ける管理職」は、スタッフにとって良い手本 になります。


まとめ:OT部門をまとめる管理職に求められる5つのポイント

最後に、本記事の内容をまとめます。

  • ルールと仕組みを整え、迷いのない業務環境を作る
  • 責任と権限を明確化し、「任せる」文化を作る
  • 目標設定と結果評価でモチベーションを高める
  • 他職種との連携を円滑にし、OTの存在感を高める
  • 管理職自身が学び続け、チームの成長を促す

「管理職だからこそできること」を意識し、チームを成長させるリーダーを目指しましょう!

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