属人化が組織を疲弊させる理由|中間管理職が取るべき仕組み化の基本

自分の職場でもよく感じるのだが、業務が特定の人に偏っている場面は多い。
誰かが休んだだけで仕事が止まりそうになり、周囲が慌てて穴埋めする。
中間管理職として板挟みを経験してきた身として、この“属人化”が思っている以上に組織の負担になっていると感じている。

今回は、属人化がどうして起きるのか、その構造を少し整理してみたい。


目次

属人化が組織を疲弊させる理由

属人化とは「その人がいないと回らない状態」のこと。
表面上は普通に動いていても、実際は一人の経験や判断に依存していて、ちょっとした不在で業務が止まりやすい。

異動の少ない職場だと、同じ人が長く同じ業務を担当する可能性もあるため、いつの間にか他の人ができない業務になりやすい。
その人が手順を丁寧にメモしたわけでもなく、気づけば“頭の中だけに存在するやり方”が積み重なり、周囲には見えないブラックボックスになる。

私自身も、担当者が急に休んだ時に「そもそも何から始めればいいのか」が分からず、関係部署に聞き回った経験がある。
こういう時の空気は独特で、
“誰も悪くないのに、みんなが疲れていく”
感じがする。

業務が止まれば負担は他へ跳ね返り、ミスも起きやすくなる。
引き継ぎ不能な状態は人材育成も妨げてしまい、組織として非常に脆い。

属人化とは、個人ではどうしようもない“構造的な問題”なのだと思う。


属人化が起きる原因(心理・環境・役割)

1. 心理的な要因

得意な仕事ほど、人は自分で抱え込みやすい。
周囲が時間をかけて覚えるより、自分がやったほうが早いし正確だと思ってしまう。
説明する手間もかかるので、結局自分でやるほうが精神的にも楽だったりする。

気づけば“自分しかできない手順”が出来上がり、そのまま固定化してしまう。

これは誰でもやりがちなことで、特別悪いわけではない。
ただ、属人化を避けるという観点では大きな壁になる。


2. 環境的な要因

業務手順が記録されていない環境では、属人化は自然に進む。
紙、メール、チャット…情報がバラバラで、どれが最新なのかも分からない。
忙しければ「まず回すこと」ばかりが優先されて、整理する時間はどうしても後回しになる。

異動が少ない組織では、仕事が人に紐づいたまま何年も続き、その人だけが知っている知識が増えていく。

「気づいたら属人化していた」
という状況は、働いているとよくある光景だ。


3. 役割・構造の要因

中間管理職は、プレイヤーとしても優秀なことが多い。
だからこそ「あなたがやったほうが早い」と周囲から依頼が集まりやすい。

権限や役割の線引きが曖昧な組織だと、できる人に仕事が集中してしまう。
部門間の調整も管理職に集まるため、最後は“管理職が何とかする”構造になりやすい。

属人化は、個々が悪いのではなく、この構造が自然と生んでしまうものだと感じている。


属人化をなくすための3つの方法

1. 業務を見える化する

まずは、自分の業務から棚卸ししてみるとよい。
何に時間を使っていて、どんな判断をしているのかが見えてくる。
その中に「自分にしかできない作業」が必ずある。

いきなり他の人に任せるのではなく、

  • 手順
  • 判断の基準
  • 注意点

を短く書き出してみる。

いわゆるマニュアル化だが、形式にこだわる必要はない。
“他の人でも読めばできる状態”を作るだけで十分。


2. 感情の区切りをつける(手放す基準を持つ)

属人化には、心理的な抵抗が影響していることも多い。
「任せるより自分でやったほうが早い」
という感覚は、中間管理職ほど強い気がする。

だからこそ、先に“手放す基準”を決めておくのが有効だと思う。

  • 時間がかかる業務
  • 注意すれば誰でもできる業務
  • 判断基準が明確な業務

こういうものは、誰かに任せても問題ない。

また、任せた直後はどうしても品質が揺れる。
最初から100%を求めず、七割くらいで良しとして、少しずつ育てるつもりで関わるほうがうまくいく。


3. 行動のテンプレート化・マニュアル化

再現性をつくるには、説明だけでは足りない。
“そのまま使える形”に落とし込む必要がある。

チェックリストにする、
依頼文や報告文を定型化する、
判断のポイントを一言添えておく。

流れ、手順を明確にしておく。

こうしたちょっとした整備が、業務を個人から切り離し、チームに移すきっかけになる。

テンプレート化やマニュアル化は、属人化を外すうえでの核になると思う。


一般化された実例|担当者が異動した日に露出した属人化

私の周囲でも、ある担当者が急に異動したことで業務が混乱した場面があった。
引き継ぎ資料はメモ程度で、判断の基準も順番も分からない。
新しく担当になった人は、関係部署に聞いてまわり、どうにか形にしていた。

この時、管理職が気づいたのは
「業務が回っているように見えていただけで、実態は個人の力で成立していた」
という事実だった。

その後は業務の棚卸しから始め、チェックリスト化やテンプレートづくりが進み、次の異動ではスムーズに引き継ぎができた。

属人化は、誰かの性格の問題ではなく、構造が作る依存だと思う。


まとめ

属人化は「その人が悪い」から起きるのではない。
業務が見える化されていない構造が、自然と個人へ負担を寄せてしまうだけだ。

真ん中に立つ管理職ほど、自分の判断を減らし、仕組みでチームを支える必要がある。

今日の小さな整備が、明日の余白となり、組織の耐久性を高めていく。


今日からできる3つのこと

  1. 自分の業務を5分だけ棚卸しし、「自分にしかできない作業」をひとつ特定する。
  2. その作業の流れと判断ポイントを箇条書きで書き出す。
  3. 誰かに任せるために必要な情報(ファイル・メモ・手順)をひとつ整える。

本日もお読みいただきありがとうございました。

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