ふとした瞬間に、頭の中がごちゃごちゃして「何から手をつければいいのか分からない」「なぜかずっとモヤモヤしている」──そんな状態になったことはありませんか?
日々の仕事、家のこと、人間関係……やるべきことや気になることが増えると、思考が渋滞してしまいがちです。特に管理職として責任を抱える立場では、なおさら自分の頭の中を整理する力が求められます。
この記事では、そんな「ぐるぐる思考」から抜け出すための3ステップの思考整理術を紹介します。自分の思考と丁寧に向き合う時間を、一緒に過ごしてみませんか?
1. なぜ「思考がぐるぐるする」のか?
人は、未処理の感情や決断すべきことが頭に残っていると、それを無意識に反芻してしまいます。
「まだ何も進んでいない気がする」「何か忘れてる気がする」といった漠然とした不安や焦りは、こうした思考の“未完了”が原因です。
特に忙しい時期ほど、自分の思考に向き合う余裕がなくなり、気づけば頭の中がパンパンに。集中力が落ちたり、イライラしたり、眠りが浅くなったりと、実は身体にも影響を与えることがあります。

2. 思考整理の基本3ステップ:まずは「出す・分ける・決める」
ステップ1:とにかく「書き出す」
ぐるぐるした思考を解消するための第一歩は、頭の中にあるものを一度すべて外に出すことです。
やり方はとてもシンプル。紙でもスマホでも構いません。大事なのは「きちんと書こう」としないこと。箇条書きでも、単語でも十分です。整った文章にする必要はありません。
書き出すと楽になる理由
人の脳は、「考える」と「覚えておく」を同時に処理するのが苦手です。
気になっていることが脳内にとどまっていると、思考のキャパシティを圧迫し、新しい判断や集中ができなくなります。
書き出すという行為は、脳の一時保存領域を開放することに近い働きがあります。
散らかった引き出しの中身を全部出して整理するような感覚です。
書き出しのコツ
- 気になることや、やらなければと思っていることを自由に書く
- 1行1項目、短くても細かくてもOK
- 誰にも見せない前提で、率直に書く
書き出し例
・プレゼン資料がまだ完成していない
・〇〇さんの一言が気になっている
・歯医者の予約を取らなきゃ
・返信していないメールがある
・子どもと最近話せていない
・昨日、ついイライラして八つ当たりしたかも
このように、頭に浮かぶことを吐き出すだけで、自分の思考が可視化されて気持ちが落ち着いてくるはずです。
ステップ2:「感情」と「事実」に分ける
書き出した内容を見ながら、次に行うのは「感情」と「事実」の切り分けです。
なぜ感情と事実を分けるのか
ぐるぐる思考の正体は、感情と事実が混ざったまま処理されていない状態にあります。
たとえば、「上司に冷たくされた」という思いは、本当に事実なのか、それともそう感じただけなのか、分けてみると視界がクリアになります。
混ざったまま放置すると、「なんであんなことを言われたんだろう」「自分が悪かったのかも」と堂々巡りに陥りやすく、思考も気分も停滞しがちです。
具体的な分け方の例
内容 | 分類 | 補足 |
---|---|---|
資料が終わっていない | 事実 | 実際に未完了のタスク |
仕事がうまくいってない気がする | 感情 | 主観的な不安 |
昨日、〇〇さんに話しかけたら返事が素っ気なかった | 事実 | 客観的な出来事 |
悲しかった/イライラした | 感情 | 否定せず受け止める |
事実と感情を分けてみると、自分の内面で何が起きているのか、より明確に把握できるようになります。
ステップ3:優先順位をつけて「今できること」を決める
ここまで書き出しと分類ができたら、いよいよ行動につなげていきます。
行動の選び方
すべてを一気に片付けるのは難しいため、「今、自分にできること」「今日中にやっておくと気が楽になること」を一つ選びましょう。
判断に迷うときは、以下の視点が役に立ちます。
- 今すぐ一人でできることは何か
- 他人に任せられることはあるか
- 今日やることで、明日の負担が減ることは何か
緊急度×重要度で整理する
以下のようなマトリクスを活用すると、頭の中をシンプルに整理できます。
重要 | 重要でない | |
---|---|---|
緊急 | 今すぐやる | 時間を決めて対応 |
緊急でない | 予定に入れる | 保留または削除 |
整理ができたら、「これだけはやる」と決めて、ひとつだけ実行してみてください。
たとえば、「10分だけ資料の下書きを始める」「メール1通だけ返信する」など、ごく小さなアクションで構いません。
行動に移すことで、頭の中にあった「詰まり」が流れ出し、次第に思考も感情も整っていきます。
3. ぐるぐるしないための日々の習慣
一度整理できても、忙しい日々を送っていれば、またすぐに頭の中がいっぱいになることもあります。そこでおすすめなのが、思考をこまめに整える小さな習慣です。
- 朝5分だけ「今気になっていること」をメモ
- 日記やマインドマップで頭の中を視覚化
- 「自分の考えに名前をつける」習慣(例:「不安くんが話しかけてきた」)
自分の思考パターンを知ることで、「あ、またいつものやつだな」と冷静に向き合えるようになります。
まとめ:思考の整理は自分への思いやり
頭の中がごちゃごちゃしている時こそ、自分と静かに対話するチャンスです。
「思考の整理=自分への思いやり」。
無理に前向きになる必要はありません。まずは、紙に思いを吐き出すだけでもOK。
小さな一歩が、心の中に余白をつくり、行動にもゆとりをもたらします。
ぜひ今日、5分だけ「頭の中を整える時間」をとってみてください。