【作業療法士が実践】忙しい管理職1年目でも成果を出せるタイムマネジメント術

臨床と管理業務の両立に悩む作業療法士の方へ。毎日の忙しさに追われ、「時間が足りない」と感じていませんか?実はそれは単なる時間管理の問題ではなく、もっと深い「行動」と「時間感覚」の管理の課題かもしれません。

本記事では、管理職として成果を最大化するための実践的なタイムマネジメント術を、複数の書籍からの学びと作業療法士としての経験を交えてご紹介します。『人生が充実する時間のつかい方』『タイムマネジメント大全』『YOUR TIME ユア・タイム』などから得た知見を活用し、あなたの仕事と人生をより豊かにする方法をお伝えします。

目次

タイムマネジメントの本質とは?

多くの人が勘違いしているのは、タイムマネジメントが単に「時間を管理する」ことだと考えている点です。実際には「行動の管理」と個人の「時間感覚」を考慮することが重要なのです。

タイムマネジメントの真の目的は何でしょうか?それは「同じ時間でより多くの成果を出す」「より少ない時間で同じ成果を出す」といった効率化だけではありません。本質は「手にしている時間を豊かにする」ことにあります。

『人生が充実する時間のつかい方』では、単に時間を節約するのではなく、充実した人生を送るための「タイムデザインメソッド」が提唱されています。可処分時間の量だけでなく、その質を高めることが重要なのです。

一方、『YOUR TIME ユア・タイム』では興味深い指摘がされています:「万人に効果がある時間術は、いまだひとつも見つかっていない」。この本は、私たちが本当に気にすべきは時間そのものではなく「時間感覚」だと主張しています。個人の時間感覚に合わせた時間の使い方が鍵となるのです。

作業療法士として私が臨床現場から管理職になった時も、同じ疑問を抱きました。「なぜ同じ24時間なのに、ある人はとても多くのことを成し遂げられるのか?」その答えは、時間そのものではなく、時間との関わり方にあったのです。

生産性を向上させる4つのアプローチ:様々な書籍からのヒント

タイムマネジメントを考える上で、投入時間と成果の関係性に着目した4つのパターンを意識すると効果的です。

  1. 投入時間はそのままで成果を増やす
  2. 投入時間を減らし成果を維持または増やす
  3. 投入時間を増やし大幅に成果を伸ばす
  4. 投入時間を大幅に減らし不要な業務を削減する

『タイムマネジメント大全』では、まず時間の可視化によって無駄な時間や改善点を知り、受動的な時間を減らすことで生産性を高める方法が解説されています。また「トリガー」の概念を理解し、それを避ける環境を作ることの重要性も指摘されています。

私が管理職1年目で実践して効果があったのは、まず「時間の可視化」でした。1週間の業務をすべて記録してみると、驚くほど多くの「時間の漏れ」が見つかりました。特に予想外のスタッフへの対応や急な問い合わせへの対応が、計画的な業務を中断させていたのです。

『人生が充実する時間のつかい方』では、ある程度の忙しさが日常生活に目的意識を与え価値があると指摘する一方で、可処分時間が少なすぎると幸福度が下がることも示されています。同時に、可処分時間が多すぎても生産性を実感できず幸福度が低下する可能性があります。最適なバランスを見つけることが重要なのです。

興味深いのは『YOUR TIME ユア・タイム』の主張です。時間術を駆使しても仕事のパフォーマンスはさほど上がらない可能性を示唆し、むしろ時間術は幸福度を高める技法として捉え直すべきだと提唱しています。効率ばかりを追求すると創造性が低下する可能性もあるのです。

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即実践できる!管理職のためのタイムマネジメント6つのコツ

1. 優先順位の高い業務に集中する

『タイムマネジメント大全』では、深い思考が必要な仕事(ディープワーク)を意志力の高い午前中に、作業的な仕事(シャローワーク)を午後に行うことを推奨しています。

作業療法士からの視点でも、特に臨床と管理業務を両立する場合は、重要な臨床判断や管理決定は午前中に、ルーチン業務や記録作業は午後に回すと効率が上がりました。

2. 目標を明確に設定する

目標が曖昧だと、何に時間を使うべきかの判断も曖昧になります。長期目標から逆算して短期目標を設定し、日々の業務に優先順位をつけましょう。

管理職として私が学んだのは、部門目標と個人目標を明確に紐づけることの重要性です。「なぜこの業務をしているのか」という意味づけが明確になると、時間の使い方も自然と変わってきます。

3. タスクを細かく分解する

大きなプロジェクトや複雑な業務は、小さく具体的なタスクに分解することで取り組みやすくなります。「リハビリ部門の年間計画策定」という大きな業務も、「現状分析」「目標設定」「施策立案」などのステップに分解すれば、取り組むハードルが下がります。

4. 定期的に振り返る

『タイムマネジメント大全』は、1週間の振り返りを行い、できたこと、できなかったこと、やりたかったこと、来週の目標を意識することの重要性を強調しています。

私の経験では、金曜日の終業前に15分だけ時間を取って週の振り返りを行うことで、翌週の効率が格段に上がりました。特に「何がうまくいかなかったか」よりも「何がうまくいったか」に焦点を当てる振り返りが効果的です。

5. 雑務を「まとめて処理」する

メールチェック、電話対応、書類処理などの雑務は、時間を区切ってまとめて処理すると効率が上がります。作業療法士として臨床業務と管理業務の両立に悩んでいた時も、「臨床の時間」と「管理の時間」を明確に分けることで、切り替えのロスが減りました。

6. 人に任せる

すべてを自分でやろうとせず、適切な業務は部下や同僚に委譲しましょう。最初は時間がかかるように感じますが、長期的には大きな時間の節約になります。作業療法士としても、チームアプローチの中で「誰が何を担当するか」を明確にすることで、全体の効率が上がります。

効果的なタスク管理の具体的手順

1. タスクの洗い出し

『タイムマネジメント大全』は、まず時間の可視化のために1週間の生活を記録することから始めることを推奨しています。やるべきことをすべて書き出し、頭の中だけで管理しないことが重要です。

管理職になると、臨床業務に加えて部門管理、人材育成、対外交渉など多岐にわたる業務が発生します。まずはすべてを可視化することから始めましょう。

2. アイゼンハワーマトリクスで優先順位をつける

タスクを「重要度」と「緊急度」の2軸で分類するアイゼンハワーマトリクスは、優先順位付けの強力なツールです。特に「重要だが緊急ではない」タスク(部門の将来計画策定、スタッフ育成など)に意識的に時間を割くことで、中長期的な成果が向上します。

作業療法士のためのアイゼンハワーマトリクス 管理職OTのタスク優先順位付けツール 緊急かつ重要 重要だが緊急ではない 緊急だが重要ではない 緊急でも重要でもない 重要度 緊急度 今すぐ実行する • 急変した患者への対応 • 締切直前の診療報酬書類 • 職員の緊急トラブル解決 • 安全対策に関わる問題 計画して実行する • 部門の中長期計画策定 • スタッフ育成・面談 • 臨床技術の研鑽・研究 • 業務改善プロジェクト 委任する • 予定外の打ち合わせ • 急な書類依頼・アンケート • 割り込みの電話対応 • 他部署からの急な依頼 削減・除外する • 過剰な会議への参加 • 未整理の雑多なメール • 不要な資料作成・整理 • SNSなどの時間泥棒 「重要だが緊急ではない」タスクに定期的に時間を確保することが管理職OTとしての成長と成果の鍵

3. フィジビリティスタディを活用する

新しいプロジェクトや業務改善に取り組む前に、小規模な試行(フィジビリティスタディ)を行うことで、本格実施の際の時間効率が格段に上がります。業務改善のためにアナログな業務をデジタル業務へ移行させた経験がありましたが、初めから全体で行わず、小規模で実験的に行うことで全体で行うときの大規模な修正が軽減できたことがあります。

4. SMARTの法則に基づいて目標を設定する

目標は具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性がある(Relevant)、期限がある(Time-bound)という「SMART」の基準を満たしているか確認しましょう。「リハビリ部門の満足度を上げる」よりも「今年度末までに患者満足度調査のスコアを現状の3.8から4.0に向上させる」という方が、行動に落とし込みやすくなります。

5. 計画を実行し振り返る

『タイムマネジメント大全』は、週ごとの振り返りを通して理想の1日を見つけ、最高の1週間を過ごせるようにすることを提案しています。実行→振り返り→改善のサイクルを回し続けることで、あなた自身のタイムマネジメントはどんどん洗練されていきます。

タイムマネジメントを習慣化するためのヒント

1. デジタルツールを活用する

『タイムマネジメント大全』は、Webカレンダーや時間管理アプリなどのツールを活用して時間を記録することを推奨しています。具体的なアプリとして「Toggl Track」「MyStats」などが紹介されています。

私自身も、作業療法士から管理職になった際に最も役立ったのがデジタルツールでした。特にGoogleカレンダーとTodoistの組み合わせが、臨床と管理の両立に大いに役立ちました。

2. ルーチン化する

『タイムマネジメント大全』は、朝のルーティンを作り、考えるべきことを減らすことを推奨しています。体を動かす、瞑想、スケジュール確認などをルーティンに含めることで、1日の始まりが整い、その後の時間の質が高まります。

管理職として私が実践しているのは「朝の15分ルーティン」です。出勤後すぐに今日の予定確認(3分)、最重要タスクの設定(2分)、メールチェック(5分)、水分補給と軽いストレッチ(5分)を行うことで、1日の方向性が明確になります。

3. 小さな成功体験を積む

大きな変化を一度に求めず、小さな改善から始めましょう。例えば「毎日30分早く出勤して静かな時間を確保する」「会議の時間を5分短縮する」といった小さな成功体験が、次第に大きな変化につながります。

作業療法士として臨床に携わっていた経験から言えるのは、小さな変化の積み重ねが最終的に大きな成果につながるということです。患者さんのリハビリでも同じですね。

さらに学びを深めるための書籍紹介

これまでの各章で紹介した書籍をもう一度振り返ってみましょう。

  • 『人生が充実する時間のつかい方』: 最適な可処分時間を見つけ、「手にしている時間を豊かにする」ことの大切さを教えてくれます。
  • 『タイムマネジメント大全』: 時間の可視化から始め、受動的な時間を減らし、プライベート時間を確保するための具体的なテクニックが満載です。
  • 『YOUR TIME ユア・タイム』: 時間ではなく時間感覚に着目し、自分に合った時間との向き合い方を見つける方法を提案しています。書籍内にある「4×4時間感覚タイプテスト」を活用することで、自身の時間感覚のタイプを知り、よりパーソナライズされた時間管理の方法を見つけることができます。

また、池田貴将氏の著書『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』、『図解モチベーション大百科』は、タイムマネジメントと並行して、リーダーシップやモチベーションを高める上で参考になります。特に管理職としての意識改革には大いに役立つでしょう。

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おわりに:行動を変え、時間を味方につける

タイムマネジメントは「時間」だけでなく、「行動」と「時間感覚」の管理であるという本質を忘れないでください。紹介した書籍を参考に、自身の状況に合ったタイムマネジメント術を見つけ、実践していくことが重要です。特に、まずは時間の可視化から始めることをおすすめします。

作業療法士として臨床に携わる中で培った「対象者一人ひとりに合ったアプローチを考える」という視点は、タイムマネジメントにも応用できます。あなた自身に最適な時間との付き合い方を見つけてください。

あなたはどんなタイムマネジメント術を実践していますか?

参考文献

  • 『人生が充実する時間のつかい方 UCLAのMBA教授が教える”いつも時間に追われる自分”をやめるメソッド』
  • 『タイムマネジメント大全~24時間すべてを自分のために使う』
  • 『YOUR TIME ユア・タイム』
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