中間管理職になる──
そう聞いただけで、不安やプレッシャーを感じてしまう方は少なくありません。
「自分にはリーダーシップがない」
「周りより劣っている気がする」
それでも上司から役職に就くよう打診を受けたことはありませんか?
今回は、私自身が“偶然”を味方につけてキャリアを築いてきた体験と、
「プランド・ハップンスタンス理論」という考え方を通じて、
マネジメントに対する受け止め方をお伝えします。
放置すると悪循環に陥る「中間管理職への不安」
昇進の打診を受けたとき、嬉しさよりも「できる自信がない」という不安の方が勝っていませんか?
直近の調査では、20~30代正社員の約7割が将来のキャリアに不安や悩みを抱えており、その中でも「いまの会社で管理職になりたい」と答えた人はわずかで一般社員の約8割が管理職に就きたくないと回答しており、若手の約6割は「そもそも昇進を望まない」という傾向があります。
主な理由には、責任の重さやプライベート優先型の価値観**、そして専門性・スキル重視の姿勢があります。
しかし、この段階で尻込みしてしまうと、本来得られたはずの経験や成長の機会を見逃してしまう恐れがあります。
また、自己評価が低いままでは「どうせ自分には向いていない」と決めつけてしまい、
本来の自分らしいスタイルでのマネジメントにたどり着けないことも。
見えないプレッシャーを抱えたまま無理をしてしまうと、心身の不調にもつながりかねません。
「ちゃんとやらなきゃ」が心をすり減らす理由
中間管理職に対して私たちは、
「部下を引っ張る」「先導する」「的確に指示する」
といった理想像を持ちがちです。
でも、そのイメージが自分と合っていないと感じたとき、
「自分は向いていない」と自己否定してしまいやすいのです。
完璧を目指しすぎると、心の余白がなくなっていく。
そして「自分らしさ」や「強み」が見えなくなってしまいます。
私の失敗と転機――そして得られた「整える視点」
私もかつて、同期と比べてスキルも知識も劣っていると感じ、
「自分には無理だ」と何度も思っていました。
でも、比較して落ち込んだからこそ、周囲をよく観察する癖がつきました。
上司からはその視野の広さを評価され、まさかの中間管理職の打診が。
INFJタイプの私は、グイグイ引っ張るタイプではありません。
だからこそ、“聞く力”や“業務の流れを改善する視点”に注力したのです。
すると、10年以上にわたり中間管理職として一定の信頼を得ることができました。
この経験を通じて知ったのが「プランド・ハップンスタンス理論」という考え方。
偶然のチャンスを「とりあえず受けてみる」ことが、
キャリアの大きな転機になることがあるのです。

プランド・ハップンスタンス理論とは
これはスタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱したもので、
「偶然の出来事や予期しない出会いを、計画的にキャリア形成に活かしていく」という考え方です。
たとえば、
・上司からの突然の打診
・たまたま声をかけられたプロジェクト
・意図せず任されたチーム運営
こうした「予期せぬ機会」に対して、柔軟に反応し、
自分の成長や可能性につなげることが、この理論のポイントです。
つまり、「流れに任せる」という姿勢は、
決して“受け身”ではなく、“戦略的な柔軟性”とも言えるのです。
今日から試せる「整える習慣」3選
- “できるかわからない”案件は、まず聞いてみる
即断即否ではなく、「内容を聞いてみる」だけでも前進です。 - 自分の強みと役割を掛け合わせて考える
自分らしいやり方で成果を出せる道を模索してみましょう。 - 小さな偶然にアンテナを立てる
ふとした会話や打診を、「何かのチャンスかも」と柔らかく受け止めてみてください。
少しずつでいい。「整える」ことが、前に進む力になる
キャリアの正解は、決して一つではありません。
ましてや、「理想の上司像」に無理に合わせる必要もないのです。
自分に合ったスタイルを見つけるには、
流れに任せて“試してみる”という柔軟さが、意外と大きな鍵になります。
「とりあえず、やってみる」
その一歩が、思いがけない未来への扉を開くことになるかもしれません。