上からは「もっと成果を出せ」、下からは「もっと守ってほしい」。
中間管理職の「板挟み」は、なぜこんなに消耗するのでしょうか。
病院リハビリ課でNo.2として14年。上層部と現場スタッフの間で、毎日のように板挟みになってきた私が、「板挟みで消耗しない」ための思考法と実践を共有します。
中間管理職の板挟みが消耗する理由
板挟みが辛いのは、単に「どちらかを選べない」からではありません。
本当の消耗の原因は、「どちらの言い分も理解できる」からです。
上の立場の論理も、下の現場の苦労も、両方わかる。だから「どちらも裏切りたくない」という葛藤が生まれる。この葛藤こそが、板挟みの消耗の正体です。
板挟みを悪化させる3つの「やりがちな罠」
罠1:上の意向をそのまま下に伝える「メッセンジャー化」
「上がこう言っているから」とそのまま伝えると、現場スタッフは「自分たちのことを考えてくれない管理職」と受け取ります。あなたへの信頼が下がる一方で、上への反発が高まります。
罠2:下の不満を上に持っていく「愚痴代弁」
逆に、スタッフの不満をそのまま上層部に伝えるだけでは「まとめる力がない管理職」と評価されます。
罠3:「どうにかします」と言い続ける「先送り」
板挟みから逃げるために「検討します」「上に伝えます」を繰り返すと、上からも下からも信頼を失います。
板挟みで消耗しないための思考の転換
板挟みを「苦しい立場」ではなく、「両方の情報と信頼が集まるポジション」として捉え直す。
中間管理職にしかできないことがあります。それは、上の意向を現場の言葉に「翻訳」し、現場の実情を上に「編集して届ける」こと。
メッセンジャーではなく、翻訳者・編集者になる。この発想の転換が、板挟みの消耗を減らします。
現場で実際に使った「板挟み対処法」3つ
① 上への伝え方を変える:「問題報告」から「提案報告」へ
「現場が不満を持っています」ではなく、「現場の状況はこうで、こういう対応が有効だと思います」という形に変える。問題だけ投げるのではなく、解決案をセットにする。
これだけで、上層部からの評価が「問題を持ってくる人」から「解決する人」に変わります。
② 下への伝え方を変える:「上の決定」に自分の言葉を乗せる
「上がこう決めました」ではなく、「今回の決定はこういう背景があって、私はこう考えています」と、自分の解釈・意見を添える。
スタッフが知りたいのは「管理職がどう考えているか」です。あなたの言葉が入ることで、信頼関係は変わります。
③ 「自分が決められること」と「決められないこと」を明確にする
全部自分で抱えようとするから消耗します。「これは私の権限で変えられる」「これは上の決定なので変えられないが、説明することはできる」——この線引きが、板挟みのストレスを構造的に減らします。
まとめ:板挟みは「役割」と割り切る
板挟みは、中間管理職である限り完全にはなくなりません。でも、消耗の量は選択できます。
「翻訳者・編集者」として、上と下の間を「橋渡しする」役割を担う——この視点を持てると、板挟みの見え方が変わります。
あなたの立場でしかできないことが、必ずあります。
※本記事は個人の現場経験に基づく見解です。