医療や介護の現場で働く中で、こんな悩みを感じたことはありませんか?
「人によってケアの方向性が違う」
「後輩のやる気をうまく引き出せない」
「カンファレンスで意見が言えないまま終わってしまう」
一見、人間関係の問題のように見えても、よく見るとその根っこには「仕組み」や「マネジメント」の課題が潜んでいることがあります。
私自身、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ・Ⅲ級を取得し、日々「人と組織のあいだ」で試行錯誤してきました。
最近、新たに「医療マネジメント認定士」という資格が登場し、自己研鑽の延長線上として注目しています。
医療経営士のように大規模で体系的な資格もありますが、現場目線でマネジメントを学びたい方には、この認定士はより身近に感じられるかもしれません。
医療マネジメント認定士とは?――「調整力」を育てる資格
医療マネジメント認定士は、医療現場の課題を構造的に捉え、未来志向で解決に導くマネジメントの実践者を認定する資格です。
私がこの資格に惹かれたのは、マネジメントを「人を動かす力」ではなく、「人と人を調整する力」として学ぶという考え方にあります。
現場で働いていると、誰かを「動かす」よりも、「整える」「つなぐ」「寄り添う」ことのほうが、はるかに難しく、そして大切だと感じます。
意見が食い違うときも、立場が違うときも、その“あいだ”に立って関係を調整する――。
この資格の理念には、そんな現場のリアリティと、人を尊重するまなざしが感じられました。
看護師やリハ職など、医療の現場で働く人が、チームや組織の関係性を整理し、より良い協働を実現するための体系的な学びが得られます。
なぜ今、マネジメントが必要なのか?
医療や福祉の現場は「感情労働」と呼ばれるほど、感情の消耗が避けられません。
「後輩が育たない」「意見が出ない」といった悩みの多くは、人の資質ではなく、対話の仕組みや場の設計に原因があります。
マネジメントを学ぶことで、「なぜこのチームはうまくいかないのか」「どうすれば関係性が整うのか」を俯瞰的に考えられるようになります。
医療マネジメント認定士は、現場をより持続可能にするための“共通言語”を学ぶ資格とも言えます。
学習の3本柱:「自分・チーム・システム」を整える
学習の軸は、次の3つです。
医療マネジメントは単に「リーダーシップ」ではなく、「自分」と「チーム」と「組織」の関係性を見つめ直す学びです。
柱① 自分自身を整える(セルフケア)
ケアする側の感情やストレスに焦点を当て、自己理解とセルフマネジメントを学びます。
(例:感情との向き合い方、未来志向の内省)
柱② チームの力を引き出す(チーム運営)
限られた資源の中でチームが力を発揮するために必要な、関係性のマネジメントを学びます。
(例:コミュニケーション設計、リーダーシップとフォロワーシップ)
柱③ 組織を理解し、現場をつなぐ(経営視点)
経営層と現場をつなぎ、方針を現場に落とし込む「すり合わせ力」を養います。
(例:組織と個の共成長、利益意識と労働生産性)
対象者と試験概要
対象
医師・看護師・リハ職・薬剤師・管理栄養士など、4年以上の実務経験を持つ医療従事者。
試験概要(第1回)
項目 | 詳細 |
---|---|
申込期間 | 2026年1月16日~7月20日 |
試験期間 | 2026年8月7日~23日 |
試験形式 | CBT(パソコン試験)/全国会場 |
試験時間 | 90分 |
出題数 | 60問(択一+記述) |
学習教材:「医療マネジメント認定士 公式テキスト」
2025年10月に発売された公式テキスト(6,050円・税込)は、医療経営学や精神医学、社会労務など、複数分野の専門家が共同執筆。
「現場で使えるマネジメントの教科書」として、理論と実践のバランスがとれた内容です。
【補足】「医療経営士」との違い
資格名 | 特徴 | 主な対象 |
---|---|---|
医療マネジメント認定士 | 現場の課題を調整・改善する即応型 | 医療従事者全般 |
医療経営士 | 経営・戦略を体系的に学ぶ段階型 | 経営層・管理職志向者 |
医療経営士は医療経営士 3級で合格率は 30〜40%前後 で推移しているようです。
医療マネジメント認定士はまだ難易度は分かりませんが、現場と経営のあいだをつなぐ実践的な学びができそうです。
すぐに現場で活かせる「等身大のマネジメント力」を身につけられる点が魅力です。
中間管理職にとっては活かせる資格になるのではないでしょうか。
おわりに
資格そのものがキャリアを変えるわけではありません。
それでも、「考え方」を更新する学びは、日々の現場を少しずつ変えてくれます。
急性期ケア専門士に合格したときもそうでしたが、「知る→やってみる→振り返る」の積み重ねが、自分の中に確かな変化を残していきます。
医療マネジメント認定士も、そんな学びの一歩として取り組む価値があると感じています。
まだまだ情報が不足しているこの資格ですが、これから学んでみようかなと思っています。
気になる方はチェックしてみてください。
