「1on1、やってますよ。月1回ちゃんと時間取ってます」
でも、その面談で部下の本音が出ているかというと——そうではないことが多い。
私が管理職になって最初の頃、1on1はただの「業務進捗確認の時間」だった。「今月どうですか?」「はい、順調です」「わかりました」——それで終わり。お互い何も得ていなかった。
「形式的な1on1」が生まれる理由
1on1が機能しない理由はいくつかある。
まず、上司が話しすぎる。1on1なのに、上司が業務連絡や指示をする場になってしまう。部下が話す余白がない。
次に、安心感がない。「本音を言ったら評価が下がるんじゃないか」という不安があると、当たり障りのない回答しか出てこない。
そして、目的が不明確。何のための時間か、双方が理解していないと、どちらも宙に浮いたままになる。
1on1の「黄金ルール」は7:3
1on1で私が意識するようになったのは、「話す比率を7:3にする」というルールだ。部下が7、自分が3。
これは思ったより難しい。沈黙が続くとつい話してしまう。相手が言いよどんでいると、先回りして言葉を補いたくなる。でも、その「余白」こそが、部下が本音を出す瞬間だ。
沈黙を怖がらない。待つことが、実は最も強力な引き出し術だ。
本音を引き出す「開く質問」
使う質問の質が、1on1の質を決める。
「最近どうですか?」は「大丈夫です」で終わる。代わりに、
「最近、仕事の中で一番エネルギーを使ってることって何ですか?」
「今の業務で、やってみたいけどできていないことはありますか?」
「もし自分でチームを変えられるとしたら、まず何をしたいですか?」
こうした「開く質問」を使うと、相手が自分の言葉で考えを話し始める。
「評価しない時間」を宣言する
安心感を作るために、私が実際にやっていることがある。1on1の冒頭に「今日の話は評価には関係ありません。正直に話してください」と一言添えることだ。
当初は「意味あるの?」と思っていたが、これだけでずいぶん部下の話す内容が変わった。「実は悩んでいたんですが……」という本音が出てくるようになった。
1on1は「関係性の積み立て」だ
1on1は1回で劇的に変わるものじゃない。毎月少しずつ、本音が出やすい空間を作り続けることで、半年後に初めて「あのとき実は……」という話が出てくることもある。
管理職としての信頼は、大きな決断の場面よりも、こうした小さな対話の積み重ねで作られる。1on1を「消化する業務」から「関係性を育てる時間」に変えることが、チームマネジメントの質を根本から変えると私は思っている。
※この記事は個人の経験と見解に基づくものです。