「褒めるのが苦手なんです」と言う管理職は多い。
理由はいくつかある。自分も褒められて育ってこなかった。褒めると「甘やかし」になるのではと思う。何を褒めればいいか分からない。褒め言葉が嘘くさくなってしまう気がする。
でも「褒めるのが苦手」なまま管理職を続けると、スタッフとの関係が「問題があるときだけ話しかける」という構造になりやすい。それがチームの空気を重くする。
褒め上手になる必要はない。ただ、一つの習慣を変えるだけで、チームの空気が少し変わる。
「褒める」のが難しい本当の理由
「褒めるのが苦手」という管理職に共通するのは、「何か特別なことをしたときに褒めなければならない」という思い込みだ。
特別な結果が出たとき、大きな成長があったとき——そういう「イベント」がないと褒められない、と思っていると、褒める機会はほとんどなくなる。日常の業務は、特別なことの連続ではないから。
ここを変える。「特別なことをしたから褒める」ではなく、「日常の中にある当たり前の行動に気づいて、それを言葉にする」に切り替える。
まず変えるべき「一つの習慣」
今日から始められる、たった一つの習慣がある。
「気づいたことをその場で声にする」
褒めなくていい。評価しなくていい。ただ、気づいたことを声にするだけ。
「さっきの対応、ていねいだったね」「記録、早く終わったね」「今日は患者さんとよく話してたね」——これは評価でも褒めでもない。ただの「観察の言語化」だ。
でも、これを言われたスタッフは「見てもらえている」と感じる。それが職場の安心感と信頼につながる。
「観察の言語化」が自然になると変わること
この習慣を続けていくと、まず自分の「見る目」が変わる。部下の仕事を「問題を見つけるために見る」から「何かいい部分はないか見る」に変わっていく。
そしてスタッフとの会話が変わる。以前は問題があるときしか話しかけなかったのが、「気づきを伝えるため」の自然な声かけが増える。関係性が変わる。
さらに時間が経つと、スタッフが自分から「今日こんなことがあって……」と話しかけてくるようになる。管理職への心理的な壁が下がっているからだ。
「特別じゃない日常」を大切にする
「褒めるのが苦手」な管理職が、褒め上手になる必要はない。大切なのは、「日常の中に目を向けること」だ。
大きなことは言わなくていい。立派な言葉も要らない。ただ、スタッフの仕事を見て、気づいたことを一言で伝える。それを積み重ねることが、長期的なチームの空気を作る。
「今日も問題なく終わった」という当たり前の日に、「今日もよく動いてくれたね」という一言が言えるかどうか。それが、スタッフの「ここで続けたい」という気持ちをじわじわと作っていく。
※この記事は個人の経験と見解に基づくものです。