職場のいじめは、医療・介護の現場でも起きている。
「無視される」「陰口を言われている」「仕事を教えてもらえない」「休憩に誘ってもらえない」——表面に出にくい形で、じわじわと進行することが多い。
管理職として「自分がいじめを受けている」と気づいたとき、あるいは「スタッフがいじめられているかもしれない」と感じたとき、どう動けばいいかを考えたい。
「いじめ」かどうかの見極めは難しい
職場でのいじめは、明確な証拠が残りにくい。「無視された」「冷たい態度だった」は、主観的な部分が大きく、加害者側は「そんなつもりはなかった」と言いやすい。
「これはいじめか、それとも自分の感じ過ぎか」と迷うことも多い。一つの判断軸は「繰り返し性」と「一方向性」だ。一度ではなく繰り返し起きていること、そして特定の人だけがターゲットになっていること——これらが重なると、いじめの可能性が高くなる。
自分が被害を受けているとき
管理職が職場内でいじめに遭うケースも、実際にある。上位の管理職や同僚の管理職からの排除、スタッフからの集団的な無視——立場は関係なく起きる。
まずやること:記録をつける。日時、状況、誰がいたか、何が起きたかを淡々とメモする。感情的な表現は後でいい。事実の記録を積み重ねることが、後の対応の土台になる。
次にやること:信頼できる第三者に話す。社内の相談窓口、産業医、あるいは外部の相談機関(労働局の「総合労働相談コーナー」など)への相談は、一人で抱えるより状況を動かしやすくする。
スタッフがいじめられているかもしれないとき
管理職として、スタッフ間のいじめを察知したときの対応は、「静観」ではなく「早期介入」が基本だ。
被害を受けているスタッフと個別に話す機会を作る。「何か気になることはないか」という問いかけから始める。直接「いじめられていますか?」と聞かなくていい。「最近どうですか」「困っていることはありますか」という自然な声かけから、状況を把握していく。
加害側と思われるスタッフに対しては、個別に「チームとして大切にしていること」を伝える。直接「あなたがいじめている」と決めつけるより、行動基準を伝える方が対立を生まずに効果が出やすい。
「見て見ぬふり」のコスト
職場内のいじめを管理職が放置すると、複数の問題が起きる。
被害を受けたスタッフが離職する。周囲のスタッフが「ここは助けてもらえない職場だ」と学習する。いじめ文化が「見えない規範」として職場に定着する。これらは職場の機能を長期的に壊していく。
管理職として職場の安全を守ることは、業務上の義務だ。動きにくい場面でも「見ている、対応する」という姿勢を示すことが、職場の文化を守る。
※この記事は個人の経験と見解に基づくものです。深刻ないじめ・ハラスメントは、社内相談窓口や外部機関へのご相談をお勧めします。