「自分には特別なスキルなんてない」と言う医療介護職の人に、よく会う。
でも話を聞いていると、「14年間チームを率いてきた経験」「多職種連携で調整役を担ってきた実績」「認知症ケアの専門的な知識」——そういう「強み」がたくさんある。本人が気づいていないだけだ。
キャリアの棚卸しとは、自分の経験・スキル・強みを整理する作業だ。転職を考えていなくても、定期的に自分を見直すことで、今の仕事の向き合い方が変わる。
キャリアの棚卸しが必要な理由
同じ職場で長く働いていると、「当たり前にやっていること」が積み重なる。でもその「当たり前」は、他の職場では「強み」として評価されることがある。
棚卸しをすることで、自分の価値を客観的に見られるようになる。それは転職活動での自己アピールだけでなく、「自分はちゃんとやってきた」という自己肯定感にもつながる。
棚卸しの手順:3ステップ
ステップ1:経験を書き出す
職歴・役職・担当業務を年代順に書き出す。「〇〇病院で△△年勤務、病棟スタッフ→主任→リーダー」という形で、事実を並べる。この段階では評価しなくていい。
ステップ2:「頑張った・変えた・乗り越えた」を書き出す
ステップ1で書いた各経験の中で、「これは頑張った」「これは自分で変えた」「これは大変だったが乗り越えた」というエピソードを一つ以上書く。実績・数字・変化が分かれば尚良い。
ステップ3:「何が強みか」を言葉にする
ステップ2のエピソードを見渡して、「自分が繰り返し発揮してきた力は何か」を考える。「調整力」「問題解決能力」「人材育成」「専門知識」——これが「強みの言語化」だ。
一人でやりにくいなら「質問に答える形」で
一人で棚卸しを始めようとすると「何を書けばいいか分からない」で止まることがある。そんなときは以下の質問に答えてみるといい。
・これまでの仕事で「自分が一番役に立てた」と思う場面は?
・周りから「それはすごい」と言われたことは?
・「これだけは自信がある」と思う業務・スキルは?
・もし後輩に教えるとしたら、何を一番伝えたいか?
これらへの回答が、棚卸しの材料になる。
棚卸しは「転職前」だけではなく「定期的に」
キャリアの棚卸しは、転職を考えているときだけやるものではない。1〜2年に一度、「今の自分は何ができるか、何を大切にしているか」を確認するだけで、仕事への向き合い方が変わる。
「自分には何もない」と思っている人ほど、棚卸しをすると「意外と積み重ねてきたんだ」と気づく。その気づきが、今いる場所での自信にもなるし、次のステップへの動力にもなる。
※この記事は個人の経験と見解に基づくものです。