管理職になって気づいたことがある。「できる部下」への対応を間違えると、組織の大きな損失になるということだ。
優秀な人材が「この職場にいる意味がない」と感じて辞めていく——これは医療介護現場でもビジネスの世界でも、繰り返し起きているパターンだ。
なぜ「できる部下」がつぶれるのか、そして管理職としてどう向き合うべきか、私の経験から整理してみたい。
高パフォーマーが辞める理由
優秀な人材が職場を去る理由は、思いのほかシンプルなことが多い。
①仕事が増えるだけで報われない——できるから仕事を任される。でも給与も評価も変わらない。「できる人が損をする」と感じると、モチベーションは急落する。
②成長の余地を感じられない——優秀な人ほど成長欲求が高い。現状維持のままでは物足りなくなる。
③自分の意見が通らない——改善提案をしても「前からこうしてきた」と却下され続けると、関与する意欲を失う。
「任せる」と「丸投げ」の違い
できる部下への最初の失敗は「なんでも任せる」だ。
「任せる」とは、目的を共有した上で、達成方法の裁量を与えること。「丸投げ」は、目的も支援も曖昧なまま押し付けること。
高パフォーマーは「任せてもらえた」と感じると力を発揮する。でも「また押し付けられた」と感じると消耗する。この違いは、上司が目的を語っているかどうかにある。
「承認」を意識的にする
優秀な人ほど「できて当たり前」と思われがちで、褒められる機会が少ない。
上司として意識的に「承認」を届けることが大切だ。成果への称賛だけでなく、「この判断は良かった」「あのやり方は参考になった」という具体的なフィードバックが、高パフォーマーに特に響く。
「わかってくれている」と感じる上司のもとで、人は力を出す。
「次の目標」を一緒に描く
高パフォーマーへの最大のモチベーション管理は、「この先の道筋を見せること」だ。
「今後あなたにはこういう役割を期待している」「このスキルを磨くと、こういうキャリアが開ける」——そういうビジョンを、1on1や面談の中で丁寧に描くことが、優秀な人材の定着につながる。
「できる部下」は組織の資産だ
高パフォーマーはいつでも「外の市場でも通用する人材」だ。つまり、引き止めなければ確実に去る可能性がある。
彼らが「ここにいたい」と思える環境を作ることが、管理職の重要な仕事のひとつだ。それは組織のためだけでなく、「育てた人材を社会に送り出すか、ここで輝かせるか」という、管理職としての誇りにも関わってくると私は思っている。
※この記事は個人の経験と見解に基づくものです。組織や個人差により状況は異なります。